「先生だって本当は俺のこと気になって気になって仕方ないんでしょ?

顔に書いてありますよ」


俺は先生の赤くなった頬をそっと撫でる。




「そんなことない!」


そんな俺の手を振り払う先生。




「そうやって必死に俺を否定すればするほど、そう感じるんだよ!」




先生に何言ったって聞いてもらえないのは最初からだった。


先生のその頑固なところも好きだよ。




でも。


これだけは。


この気持ちだけは譲れない。




「せいぜい自分の地位とか気持ちとか、

俺に全部持っていかれないように、気をつけて下さいね」




俺は、精いっぱいの強がりを言って、音楽室を出た。