「ほんとだって。何も入ってないよ?」
舞香が、私の下駄箱を調べてくれている。
わけを話して、代わりに写真を見てもらおうと思ったんだ。
「たぶんさ、リアルに優子が楽しそうだから諦めたんじゃない?向井くんもカッコいいし、敵わないって思ったんだよ」
「そう、かな?」
「そうだって。毎日毎日、写真入れてきてたんだよ?それが今日に限って入ってないんだからさ」
「じゃ、あの公園で見た男は?」
確かに入り口に立って、私のことをじーっと見ていた。
デートを目撃して、腹を立てて追いかけてきたんじゃないの?
「ねぇ、それって本当に男だった?」
「えっ?」
「女ってことない?」
「そんなわけ__」ない、と続けようとした私の頭に浮かんだのは、三浦明美だ。
背の高い明美なら、可能性はなくはない。
「やっぱ写真も明美かもね。そう考えると納得って感じ」
それでお開き!と言わんばかりに、舞香が話を変える。
でも、私の耳を素通りしていく。
ストーカーの正体が分かったならそれでいいけど、本当に三浦明美なんだろうか__?
チャイムが鳴った。
みんながだらだらと席に着く中、私のスマホも鳴った。
誰だろう?
見たことがないアドレスだ。
メッセを確認すると、それは一枚の写真だった。