『優子のお母さん、どうかしたの?』
『ちょっと病気がちで、色々と大変みたい』
『そうなんだ』
きっと2人の間で、そんな会話が交わされているだろう。
お母さん、ごめんね。
確かに盲腸で入院していたのは事実だけど、もう回復した。
でも時々こうやって、お母さんを理由にすることがある。だって、そうすれば疑われることがないから__。
電車で4駅進み、駅前の待ち合わせ場所に急ぐ。
ふと私は、さっきの舞香の言葉を思い出した。
カバンを『シェア』する。
お弁当とかパンケーキなら分かる。他の味も食べたいし、一口くらいは手軽だし。でも、カバンはどうだろう?しかも私と彩音はお金を払わない。
舞香にとって得することはなにもない。
自分がお金を出したカバンを、半分以上、私たちが使うんだ。
それだけお金が有り余ってるってこと?
ううん、たぶん、もっと私たちと仲良くなりたいんだろう。
それなら余計に、そんな方法じゃなく、普通にしていたほうがいいのに__もしかして、今までそうやって友達を作ってきたのかな?
そんなことを考えていたら、急に腕を掴まれた。
振り返るとそこには__。
「優子、好きだよ」