『シェア』


それが全ての答えだというように、舞香が微笑む。


「意味が、分からないんだけど?」


「分からない?」


「分からないわよ。ずっと、ずっと親友だと思ってたのに。大事な親友だって__」


「今も親友じゃない」


「えっ?」


「色んなものをシェアしてきた、親友じゃない」


舞香の口調は、いつもとなんら変わりがない。


本当に私のことを思ってくれているようで、裸で達実に寄りかかっていなければ、そんな錯覚に陥ってしまう。


確かに舞香とは、いじめの苦しみを分かち合った。


カンニングのピンチも、ストーカー問題も、舞香がいたから背負う苦しみは半分ですんだ。


持ち物や食べ物を共有し、楽しいこともお互いに分けて今日までやってきた。


まさか、これも__?


「私と優子は、何でもシェアしてきたでしょ?」


「待って。達実は私の彼氏なのよ?」


「だから?」とは言葉にしないものの、その不思議そうな舞香の表情が、すべてを物語っていた。


「こんなことしたら、私が悲しむの分からないの?」


それは2人に向けて言った。


さっきからずっと、達実は顔を伏せている。


「舞香がこんなことするとは思わなかった。もう親友でもなんでもないから。2度と私に近づかないで」


それだけ言い残し、保健室を出た。


親友と彼氏をいっぺんに失い、私は1人になってしまったんだ。