トントンと音を鳴らしながら靴を履く彼。
最初はスーツは似合ってなかったけれど、今はだいぶ様になってきた。


「じゃ、行ってくる。」
『うん、いってらっしゃい。傘持ってった方がいいよ〜』


そう言いながら玄関へ向かう。
そして、いつものように手を振ろうとしたとき。
彼がこっちに向かってきた。
そして、私はぎゅっと抱きしめられた。


『……え?どうしたの?』
「今日は時間あるからエネルギー補充。」
『へへっ。』


いっつも彼は時間ギリギリで家を出るから慌ただしい。
バタバタと家を出ていく。
でも、今日は時間があるらしいのだ。
その時間を私に使ってくれるのが嬉しい。