「おい、待てよ!」



大きな足音が聞こえて、そして、大きな声が聞こえた。



「.......放っといてよ」


「放っとけねぇよ!」



グイッとあたしの腕を引っ張る。



「バカにしてたんでしょ.......こいつ、本当は俺の絵で売れてるくせにって」


「.......んな事、思ったことねぇ」


「うそだ.......。あたしの美術で描く絵が好きだなんて馬鹿にしてるとしか思えない」



同じクラスに自分のゴーストライターをしている人がいるだなんて、それを知らないでチヤホヤされていて、大馬鹿者だ。



「本当なら明かしたかったよ。でも、身分明かしたら契約違反になっちまうし.......ずっと話してみたかったって言ったのも、あんたの絵が好きだって言ったのも嘘なんかじゃない」



真剣にあたしを見る瞳には嘘があるようにはみえない。
でも、どうしても信じられないのは、やっぱりショックだったからだろうか。



「あんたの書くストーリーに惚れてた。だから、ゴーストライターを引き受けたんだ」



原崎くんの言葉にハッと彼を見つめる。