「いやいや、そんな.......原崎くん、顔に似合わないななんて」


「おい、言ってるだろ!それ」



初めてだった。
高校に入って、こんなふうに人と話したことはなかった。



「原崎くんは、いつから絵を描いてるの?」


「んー、小学生?」


「.......そう」



なんとなく、そんなはずないのに、ひとつの可能性にいきあたってしまいしうで、あたしはそこで会話をやめてしまった。
本当はもっと話していたかったけど。

だめだ、これ以上話していたら、墓穴をほるとあたしの脳みそが警鐘を鳴らす。



「俺、あんたと話してみたかったんだよね」



話すのはもうやめようと、彼のことを見るのもやめたのに、構わず話を続ける。



「.......え?」



さすがに無視するわけにはいかなくて、彼のことをみる。



「結構勿体ない生き方してんなーと思って」


「はぁ?」



また、失礼なことを言われたような気がして、睨みそうになってしまう。



「あんたの美術で描くような絵、俺好きだよ」



けなされてるんだか、褒められてるんだかよく分からない。
でも、自分が本当に描きたい絵を褒められるのは嬉しい。
誰もあたしの本当の絵に興味はないと思っていたから。