「あぁ.......まあな」



ちらっとあたしを見て、すぐに彼女に向き直る。



「原崎くんって、美術部なんだ.......」



あたしも本当なら美術部に入りたかった。
でも、漫画家になってしまったいま、部活どころではない。



「あんたも入ればいいのに」


「そんな暇、ないよ」



毎月の連載のために、プロットだって提出するし、担当さんとの打ち合わせだってある。



「売れっ子漫画家は、大変だな」



馬鹿にしたようなその笑みに、イラッとはするけど、なんにも言うことはしない。



「あったあった!原崎の作品!」



さっきの女の子が、スマホを原崎くんの机に載せる。



「原崎って、こんな可愛い絵かくんだね。なんかさ、ひまりちゃんの漫画のタッチに似てない?」


「.......え?」



彼女の言葉にスマホの画面を思わず凝視してしまう。



「へー.......」



原崎くんは、顔に似合わず可愛い絵柄を描くんだと、彼の顔を見てしまう。



「お前、いま失礼なこと考えたろ」



持っていた教科書で頭を叩かれる。