隆之は口元の唾液を拭うと答えた。

「…キスマーク」

さっきの鋭い痛みの正体がわかった。

私は混乱した頭で隆之に聞く。

「どうして…、こんなこと…」

隆之は無表情で、でもあの獣のような目で私を見る。

私は、それが怖くて、教室から逃げ出そうと隆之の横をすり抜けようとした。

しかし、すぐさま腕を捕まれ、また壁に押し当てられる。

「もう…、やめて…?隆之…」

私の目に涙が貯まっていく。

怖い。





隆之が――――――怖い。





隆之は怒ったように眉間に皺を寄せると、私の首元に顔を埋める。

「……んっ!」

そして、さっきと同じ痛み。