「―――――っアァ!」

痛さのあまりに悲鳴が出た。

痛さで私は右手を押さえてうずくまる。

しかし、まゆきさんのカッターは私の手が当たったことによって、遠くに吹っ飛んだ。

まゆきさんが私を睨んだ。

「なんで邪魔するの……!あんたは私から隆之を奪ったくせに、私の死ぬ権利まで奪うの…?!」

それは違うよ、まゆきさん。

はじめから、隆之の心はきっと、まゆきさんのところには無かったんだよ。

だから、私は隆之をまゆきさんから奪ったんじゃない。

自由にさせただけなんだ。

まゆきさんは、隆之を好きな自分自身に囚われてるんだよ。






――って、言えたらいいんだけど、私は今切ったばかりの右手のせいで、さらに意識が朦朧としていた。