メガロが会おうとしていた姫のいる国ミーデホと、メガロが王子をつとめていた国マミガでは混乱がおきていた。ミーデホでは火事がお城で起きたこと。マミガでは王子が隣国でなくなってしまったこと。アレンのメガロ殺人事件は多くの人の不安をつれてきた。しかしアレンも困ったことがあった。ミーデホではメガロの遺体しか見当たらなかった。そしてあの周辺の防犯カメラの様子では、事件があった時間にメガロの泊まっていた部屋には、誰も近づいてないことがわかったのだ。つまりアレンは犯人ということがミーデホではわかったのだ。しかも、アレンはお城の中の人、全員に顔を覚えられてしまったので、ミーデホにいるとそのまま捕まってしまうのだ。アレンはミーデホからマミガまで続く船にのって、自分の顔がみんなに知れわたる前に逃げた。しかし、マミガがに着いてわかったことがひとつあった。それは、国の男の人を片っ端から集めてミーデホに行ってもらい、お城の人に顔を見てもらって、自分はアレンという人物ではないということ証明してもらわなければいけなくなっていたのだ。いまここで捕まるわけにはいかないアレンは知恵を振り絞ってある良い案を考えついた。



アレンは家に帰ってしばらくするとお城の人が家を訪ねてきた。
「えーここには男は住んでおらぬか?」
「いえ、ここに住んでいるのは、私だけです。家のなかを確認しますか?」
「ああ、させてもらっている。」
「どうぞ。」
「失礼する。男はいないな... ご協力ありがとうございました。」
アレンはなぜ男だとばれなかったのか、それは女装をしたからだ。アレンは男にしては、小柄で色白。女装しても、まったく違和感がなかったのだ。まんまとお城の人たちは、だまされてしまった。




アレンは町に出て、食料を買うことにした。その途中でアレンが見たひとつのポスターがマミガの未来をめちゃくちゃにしてしまったのは、次の話でわかるだろう。


アレンはマミガのお城の中にいた。何故ならアレンはカレンという名前でメイドとして、お城で働きたいと思ったからだ。今日はその審査の日なのだ。しばらくしてお城の人が課題発表に来た。
「今日はお集まりいただき、ありがとうございます。これからメイドになるためのテストをうけてもらいます。このテストに合格した方々はメイドとして、お城で働いてもらいます。まずはじめのテストはそうじです。いかに早くていねいにほうきとぞうきんがけをするかがポイントです。」
アレンはとてもきれい好きなので、そうじは得意だった。そしてこのテストは難なくクリアしたのだった。
次のテストは裁縫だった。布とミシンと糸は、何でも用意しているので時間内にひとつの作品をつくれというテストだった。アレンは一人暮らしをしているので、よく裁縫もしていた。あっという間に1着のドレスを作ってしまった。そしてアレンは最後のテストに進んだのだ。最後のテストは料理だった。制限時間内にいかにおいしい料理をつくれるかがポイントだった。アレンは簡単につくれて、おいしい煮物をつくった。そしてアレンは軽々とマミガのお城のメイドになったのだった。




アレンはマミガのお城でメイドとして、働けるようになった。しかし、皆さんはきっと不思議だろう。どうしてそこまでしてアレンはこのスイミュー姫の命をねらっているのか。それは、アレンのお母さんが生きていた頃にさかのぼる。

スイミュー姫はお城の中の一人のメイドに二階の窓の掃除をするように命令した。このメイドが、アレンのお母さんだった。しかしアレンのお母さんは強風にふかれ、二階から転落してしまったのだ。その日は台風で二階の掃除はとても危ないことは、皆が知っていた。けれど、スイミュー姫はその危ない二階の掃除をやれと命令した。そしてけがをおわせた。この時けがをしていなければ、あのメガロの主催したパーティーで起こった火事から逃げ遅れて死ぬことは間違いなくなかった。

母を殺すきっかけをつくったメガロも許せなかったが、原因をつくったスイミュー姫とスイミュー姫が危ない二階の掃除をやれと命令した時に聞いていた人たちが、許せなかったのだ。

アレンはこの前のメガロ殺人の時のように、犯人と疑われないようになろうと思った。そしてアレンはある作戦をたてた。

作戦をするなかでアレンは絶対に避けては通れないことが見つかった。それは苦しい日々のはじまりになるのだった。



「こんな日々たえらんねーよ... 」
アレンはある問題に突き当たっていた。それはアレンのたてたある作戦が原因だった。アレンはメガロの殺人事件の時のように疑われないようにしたかった。そうするには、スイミュー姫と信頼関係を築くことが不可欠だった。アレンは母を殺したスイミュー姫と信頼関係を築くなんて、絶対できない。けれど母のかたきをうつには避けては通れない。道はふたつにひとつだった。アレンはどうしようか悩んでいた。けれどアレンにはあとに引く道はなかった。アレンはいばらの道を歩くことにした。


アレンは次にどうしたら信頼関係を築くことができるかを考えた。そこでアレンが考えた作戦は、火事の中で取り残されたスイミュー姫を助けることだった。
手順はこうだ。まずはじめにスイミュー姫の部屋にアレンが作った偽の雑誌を置いておく。スイミュー姫がその雑誌にきづいたら、雑誌の中の旅行券プレゼントのページを開いて、応募することをおすすめする。そして旅行に当たったことにして、旅行に行く。スイミュー姫と付き人をはなしておき、スイミュー姫が一人になった所をねらって火事をおこす。そしてアレンがたすけにいけば、信頼関係は築くことができる。


アレンは名案を思いついたのだった。


しかし、アレンはこの作戦が実行できないことに気づいた。なぜならお金がなかった。この作戦を実行するには、大金が必要だった。お金がほとんどないアレンにとって、この作戦は諦める他なかった。


そしてアレンは2通りの方法を思いついたのだった。
一つ目はゆっくり地道に仲良くしていき、信頼関係を築く。二つ目は一度大きな事件をおこして、それを解決して信頼関係を築く。このスイミュー姫の殺人さえ上手にいけば、あとの殺人がしやすくなる。アレンはそれに気づいていた。だからこそ、慎重にどちらをとるか悩んでいたのだった。


アレンは大きな事件をおこして、それを解決して信頼関係を築くことにした。そしてアレンはある作戦を思いついたのだった。それはスイミュー姫の大切にしているダイヤのネックレスを盗み、その盗んだ犯人を見つけて、信頼関係を築くという作戦だった。しかし、お城の中のすべての部屋には防犯カメラがついていたのだった。つまり、下手に動くとアレンが捕まってしまうのだった。一見むずかしそうに見えたこの作戦はアレンにとって、ぴったりの作戦だった。



そして、事件の起きた次の日。スイミュー姫がネックレスがないと気づいたときのことだった。
「なぜネックレスはなくなったのでしょう?」
「それがただいま調べておりますゆえ、もう少々お待ちくださいませ。」
「もう辛抱ならないわ!」
するとアレンが
「私、どなたが犯人かわかりましたわ。」
「本当に!」
「はい。いまから、その犯人をお伝えします。ネックレスが盗まれたのは昨日の真夜中。この防犯カメラの映像を見てください。コック帽をかぶっています。この時間の時にはお仕事は終わっていないのに。ということは、お仕事の最中にその場を離れたコックが犯人です!ちなみにそのコックは、ニッナという名前のコックでした。」


アレンはニッナというコックを手紙でよびだしていたのだ。人の目のつかない場所に呼んだため、コックのニッナにはアリバイがないのだ。アレンはネックレスを盗んだあとに手紙も焼き捨てたので、最後の救いの光さえも消えてしまったのだ。



そのあとにコックのニッナは捕まった。

そしてアレンは見事にスイミュー姫との信頼関係を築くのだった。



アレンはネックレス事件のことですっかりスイミュー姫の信頼を得ていた。メイドにもとめていることすべてができるアレンはさらに信頼されることになった。
アレンはそろそろスイミュー姫を暗殺しようとしていた。方法は2通りある。一つ目は家来たちも、つまり自分も事件に巻き込まれたように見せかける。その機会にスイミュー姫とお母さんを殺す原因となった掃除をさせるときに、スイミュー姫の側で聞いていた人たちを一気に殺すという計画。もうひとつは家来たちからじょじょに殺していき、最後にスイミュー姫を殺すという地道な殺人。


自分と疑われにくいのははじめの作戦。


けれど自分がお母さんのかたきをうったと強く感じるのは、もうひとつの方。


一時の感情を得るか、人生を考えて行動するか。


アレンはそして、はじめの作戦を実行することにした。そのためには、多くの人を1ヶ所に集める必要がある。しかし今のアレンにそんな権限はない。その時アレンはとんでもない案を思いついたのだった。


それは自分は女性ではないということを伝えるということだった。信頼関係の深い今ならうちあけても大丈夫だとアレンはふんだのだった。しかし今のマミガでは、アレンという名はメガロを殺した犯人だと知られていた。そこでアレンは自分の名前をファソロということにした。


その日の夜。アレンはスイミュー姫だけを呼んだ。
「私だけに伝えたいことがあるっていってたけど、何のことなの?カレン教えてちょうだい。」
カレンというのは、アレンのお城での偽の名前である。
「その名前は僕の本当の名前じゃないんです。僕は男だ。それに名前はファソロ... 」
「な、なぜうそをついていたの?」
「スイミュー姫のお側にいたいその一心で、うそをついてしまったのです。誠に... 誠に申し訳ありませんでした!」


アレンの声は震えていた。
もちろん演技だが。 



しかしそれを本当だと信じてしまったスイミュー姫はアレンを軽々と許してしまったのだった。そのままアレンがしたプロポーズさえもファソロならとオッケーしたのだった。いくら信頼しているとはいえ、アレンもこれにはびっくりした。しかしアレンには好都合。心の中では大笑いをしていた。アレンの殺人事件が少しずつ行われやすくなっていっていた。



今日は国中の人々がおめかしをしてお城に集まってきた。そう今日はアレンとスイミュー姫の結婚式が行われるからだ。 
お城の人々は朝から大忙しだった。コックさんたちは国中の人々が集まるのでそのごはんの準備。メイドさんたちはお城の飾り付け。ほかにもお城を掃除する人や、アレンとスイミュー姫の準備をする人、とにかくみんながてんてこ舞いだったのだ。
この結婚式を一番楽しみにしていたのは間違えなくスイミュー姫だろう。メガロはスイミュー姫を気に入って妻にしたが、スイミュー姫自身はメガロのことは好きではなかったからだ。しかし今回は自分の好きな人と結婚できる。それがとても嬉しかったのだ。
そんな思いとはうらはらにアレンは今回の結婚式でスイミュー姫を殺そうと思っていた。


作戦はこうだ。



今夜のパーティーを行っている裏でスイミュー姫とお母さんを殺す原因になった掃除をスイミュー姫がやらせるときにそばで聞いていた人たちだけを呼んで、ゆっくりお話しをする。そのときに外でやっている花火が部屋に入ってくるようにして、そのまま火事を起こす。そしてギリギリのところで、自分だけにげる。



こうすれば疑われない。
アレンは確信をついた。



結婚式が始まった。



そして夜、アレンは殺そうと思っている人たちをある部屋に呼んだ。そこはマミガが見渡せるいい部屋だった。


ゆっくりお話しをしていると、花火が部屋に入ってきた。めしつかいが急いで部屋のドアを開けようとするが開かなかった。内側からは開かないようにアレンがドアに細工をしたからだ。そして炎は大きくなり、めしつかい5人を飲み込んだ。残されたのはスイミュー姫とアレンのみ。するとスイミュー姫はアレンが予想もしなかった言葉を放ったのだった。


「あなた...サクラの息子でしょ... 」
アレンは息を飲んだ。サクラはアレンのお母さんの名前だったからだ。
「私知ってたのよ... 目とか髪の毛の色とかサクラにそっくり... 」
「違う❗違う❗違う❗俺はファソロだ!サクラなんて人知らない!」
「あなたの本当の名前はアレンでしょ?一度あなたがまだ赤ちゃんの時だったときに会わせてもらったわ ....きっとあなたはメガロと私とさっきのめしつかいを憎んでいたのでしょうね... あの事件さえなければサクラは生きていたもの。 今夜も私を殺す気だったでしょ?そのために自分の知恵を働かせて一生懸命作戦を考えていることを私は知っていました。」
「... 」
「幼い頃からそんな思いをさせてごめんなさい。国のことはまかせます。さよなら、アレン... 」
「スイミュー姫!!!」
そういうとスイミュー姫は自ら炎の中に入っていった。



アレンはだまって見ていた。スイミュー姫が倒れてしまうとそれと同時にアレンは倒れてしまった。


しばらくして消防士たちが部屋に入ってきた。
アレンは病院に運ばれた。



「ん... ?」
それからアレンが目を覚ましたのは4日後のことだった。病室が暖かい太陽の光に照らされていた。
あの火事ではアレンを除く全員がなくなった。




アレンはお城に戻ると一番高い部屋に行った。
そして空を見た。
雲ひとつない快晴だった。
太陽がまぶしくて手で顔を隠した。
アレンは自分の手を見た。
この手でお母さんがなくなった時に泣いた。
この手でメガロと共にミーデホまで歩いた。
この手でメガロを殺した。
この手でミーデホから逃げてきた。
この手でマミガのメイドになった。


そして4日前、この手でスイミュー姫とめしつかいを殺した。

その時ふと思った。自分は誰のためになにをしただろう。今までやってきたことは誰のためでもない。自分のやりきれない思いをぶつけてるだけだ。これはかたきうちでも何でもない。なら、なら俺は...









ナンノタメニイキテイルンダロウ






その時視界がぼやけて一粒。
もう止まらなかった。
アレンはここはマミガ1高いところということを思い出した。家が豆粒に見える。今なら、飛べる気がした。空にその身を投げ出せる気がした。



けれどアレンはやめた。もうやってしまったこと。起きてしまったことは変えられない。ならば、今自分のできる限りを尽くそうと思ったからだ。スイミュー姫にも国を任されている。自分のような思いをする人が一人でも減るように。アレンはまた歩きだした。けれどこれまで歩んできた道ではなく、皆が幸せになるようなことをする道を。








同じ空の下、春夏秋冬がめぐり自分たちも変わっていく。自分の歩んできた道が誇れるような道になるまで、その時まで、アレンは今日もまた歩いていく。