青蘭高校の制服は濃紺のブレザーに白いシャツ、臙脂色のネクタイに男子は薄いグレーのパンツ、女子は同色のプリーツスカートになっている。

式典や行事の時にはブレザー着用が必須だが、普段は紺色の制セーターや部活動用のパーカーを着用している生徒が多数だ。

ネクタイの線によって学年が区別されていて、一年生は斜めに一本の白線、二年生は二本、三年生は三本になる。ネクタイ以外で学年を判別できるものはない。


「二年二組の、ええと原口さん?」
「あ、はい」

委員長に声をかけられて、男子生徒を眺めていた私は慌てて返事をする。

「彼を責任もって起こして帰らせてくれないかな? それからプリントを渡して今日の説明もしておいてくれる?」

ニッと右口角を上げる委員長の言葉に首を傾げる。断りにくい雰囲気がビシビシ伝わるのはどうしてだろう。


……なんで私が?


「ええと……委員長?」
「俺の名前、楠本ね。君と同じ学年だよ」

そう言って、サクサクと教卓の上の荷物を片付けている。


用件は終わったと思われている?
まだ返事もしていないのに。


「楠本くん、私この人と同じクラスじゃないけど……」
「知ってる。君も堂々と寝てたでしょ? だから連帯責任ってことで。ああ、それと議事録に板書して先生に出しておいて」

サクッと面倒事を押し付けてくる。