その時、六時間目を知らせるチャイムが鳴り響き、先生が入ってきた。

六時間目は現国のはずだが入ってきたのは担任の先生だった。

「皆、席に着いて! 六時間目、浅井先生が急用で早退されたから自習になる。課題を今から配るから終わったらこの箱に入れて。ホームルームで回収するから日直はそのまま箱を教卓に置いておいてくれ。今日の日直は……日村と矢萩(やはぎ)だな。頼んだぞ、静かに課題をしろよ」

それだけ言うと、課題を配り終えた先生は教室を出て行った。


今日、千帆ちゃんは欠席のため親友は千帆ちゃんの机の中に課題を入れていた。

話があるから今すぐ課題を解いて、と自席に戻る前にきつく言われてしまう。


言われたとおり真剣に課題に取り掛かる。

読書が好きなので、文章を読んで登場人物の考え方や想いを想像するのは楽しい。現国はそれだけではないのが難点だけど。


ぼんやりと文章問題を解きながら雪華の言葉を思い出していた。

窓の外には雲ひとつない青空がどこまでも広がっていて、その明るさがなぜか今は無性に悲しかった。


『俺はこの愛称をつけてくれた女の子をずっと捜しているんだ』


保健室で聞いた台詞が脳裏に蘇る。