雪華?


声にならない声が喉の奥で漏れる。近すぎる距離に心が震えて、壊れそうだ。

「ずっと……何年も捜していたんだ。この学校はもちろん、近所もすべて。桜汰にもずっと協力してもらっていた。それでも見つからなくて、半ば諦めていたんだ。心が凍りつきそうになっていたそんな時にナナに出会ったんだ」

真っ直ぐな視線に射抜かれて、首に触れる指が私を落ち着かなくさせる。真剣な眼差しから逃れられない。


「ナナは一番わかってほしい俺を見てくれた」


切な気に告げられて、ヒュッと息を呑む。

ドッドッドと激しい鼓動が耳元にまで響き、なんて答えればいいのかわからない。


「……ナナは俺をどう想ってる?」


妖艶さの浮かぶ目に見据えられて呼吸が止まりそうになる。視線を逸らせない。


それはどういう意味? 
友だちとして? 
異性として?


「大事、だよ?」

肝心な部分を確認できない私にはそれしか言えない。とても大事で大切、この先を口にはできない。

「どれくらい? 桜汰より大事?」
「……一番大事だよ」

答えた瞬間、彼の目が少し翳る。


「今はそれで満足しておく。でも俺もう決めたから」

決めた?
なにを?


けぶるような熱を孕んだ視線を向けられて、その激しさに戸惑う。