「小さい頃この名前と外見が珍しかったのか、周囲からよくからかわれてたんだ。俺は当時食が細くて、身体も小さかったから女みたいだってよく言われていた」
「そんな……」
「俺はそのせいで幼稚園に行くのが嫌いだったし、同世代の子どもと遊ぶのも嫌だった」
寂しそうな声に、思わず握られた手に力を込めた。
雪華が口の端を少しだけ持ち上げて、首を横に振る。
まるで気にしなくていい、というかのように。その仕草に胸がキュッと締めつけられる。
「俺の両親は四季のなかで冬が好きで、特に雪がすごく好きなんだ。ふたりの出会いも雪が降る日だったらしくてこの名前を俺につけたんだ」
「雪華って綺麗な名前だよね。私は大好き」
「……本当にナナは俺が願う言葉ばかり言ってくれるよな」
雪華がクシャリと自身の髪をかき上げて困ったように相好を崩す。
「そんな俺にひとりの女の子が言ってくれたんだ。『全部を真っ白にしてくれる雪の名前なのね。私、名前も雪雲みたいな色の目も綺麗で大好き』って」
ドクンと鼓動がやけに大きな音を立てた。
「『雪の名前も持ってるし、昨日ママに読んでもらった絵本の王子様みたいだから、冬の王子様ね』って愛称をくれた」
懐かしむようなその表情がとても優しくて。胸が詰まって、息苦しくなる。
「そんな……」
「俺はそのせいで幼稚園に行くのが嫌いだったし、同世代の子どもと遊ぶのも嫌だった」
寂しそうな声に、思わず握られた手に力を込めた。
雪華が口の端を少しだけ持ち上げて、首を横に振る。
まるで気にしなくていい、というかのように。その仕草に胸がキュッと締めつけられる。
「俺の両親は四季のなかで冬が好きで、特に雪がすごく好きなんだ。ふたりの出会いも雪が降る日だったらしくてこの名前を俺につけたんだ」
「雪華って綺麗な名前だよね。私は大好き」
「……本当にナナは俺が願う言葉ばかり言ってくれるよな」
雪華がクシャリと自身の髪をかき上げて困ったように相好を崩す。
「そんな俺にひとりの女の子が言ってくれたんだ。『全部を真っ白にしてくれる雪の名前なのね。私、名前も雪雲みたいな色の目も綺麗で大好き』って」
ドクンと鼓動がやけに大きな音を立てた。
「『雪の名前も持ってるし、昨日ママに読んでもらった絵本の王子様みたいだから、冬の王子様ね』って愛称をくれた」
懐かしむようなその表情がとても優しくて。胸が詰まって、息苦しくなる。

