「ナナ」
その時、背後から甘めの優しい声で呼ばれ、周囲の雰囲気が一瞬で変わった。
足をとめて振り返ると雪華が楠本くんと一緒に立っていた。
周囲に小さなざわめきの波が起きるがそれを歯牙にもかけず、近づいてくる。
「……今から移動?」
抱えた荷物を一瞥して雪華が尋ねた。いつ見ても完璧なその外見に圧倒される。
「う、うん」
不覚にも一瞬見惚れてしまい、誤魔化すように急いで返事をする。
なんでいつもいきなり現れるの。
心臓に悪い。
ドッドッドと鼓動が無意識に速くなっていく。
「ナナちゃん、お疲れ様」
パンツのポケットに手を入れながら楠本くんが陽気に話しかけてくる。
「……昨日から思ってたけど、なんでお前までナナを下の名前で呼んでるんだ?」
左傍らに立つ楠本くんを不機嫌な表情を浮かべて睨む。低い声が不穏に響く。
「雪華だって名前で呼んでるんだからいいだろ? 俺は呼び捨てにしてないし」
「……名字で呼べ。ナナを名前で呼ぶ男子は俺だけでいいんだよ」
威圧感漂う声でにべもなく言い放つ雪華。その言葉に目を見開く。
「こわっ、どれだけナナちゃんを気に入ってるんだよ」
「うるさい、とにかく名前で呼ぶな」
その時、背後から甘めの優しい声で呼ばれ、周囲の雰囲気が一瞬で変わった。
足をとめて振り返ると雪華が楠本くんと一緒に立っていた。
周囲に小さなざわめきの波が起きるがそれを歯牙にもかけず、近づいてくる。
「……今から移動?」
抱えた荷物を一瞥して雪華が尋ねた。いつ見ても完璧なその外見に圧倒される。
「う、うん」
不覚にも一瞬見惚れてしまい、誤魔化すように急いで返事をする。
なんでいつもいきなり現れるの。
心臓に悪い。
ドッドッドと鼓動が無意識に速くなっていく。
「ナナちゃん、お疲れ様」
パンツのポケットに手を入れながら楠本くんが陽気に話しかけてくる。
「……昨日から思ってたけど、なんでお前までナナを下の名前で呼んでるんだ?」
左傍らに立つ楠本くんを不機嫌な表情を浮かべて睨む。低い声が不穏に響く。
「雪華だって名前で呼んでるんだからいいだろ? 俺は呼び捨てにしてないし」
「……名字で呼べ。ナナを名前で呼ぶ男子は俺だけでいいんだよ」
威圧感漂う声でにべもなく言い放つ雪華。その言葉に目を見開く。
「こわっ、どれだけナナちゃんを気に入ってるんだよ」
「うるさい、とにかく名前で呼ぶな」