「まったく、お人好しなんだから。堤くん、先月も欠席してなかった?」
「先月は新入部員の対応で忙しかったらしいよ」

美化委員会は月一回の定期開催だ。


黒板の上にかかった壁掛け時計を眺めつつ、最後に取っておいた唐揚げを頬張る。

今日も我ながらいい出来だ。共働きで多忙な両親に代わり、夕食の準備やお弁当作りを私が手伝っている。


中間テストも終わった五月後半の校内には生徒たちの明るい声が響いている。

校庭に面した窓側にある私の席には心地よい初夏の風が入ってくる。

日中は真夏のように暑い日もあるけれど、ここ数日はとても過ごしやすい。既に夏服に衣替えをしている生徒も多数いる。


「あのね、クラスのほぼ全員がなんらかの係や委員になってるんだから、堤を庇う必要はないの」

暗黙の了解で運動部所属の生徒はなにかと多忙な委員任命は免除されている。
部活動で委員会活動が十分にできない場合が多いからだ。

「先月はお詫びにって、購買でジュース奢ってくれたけど」
「餌付けされてどうするのよ」

美人の親友が呆れたように私を見た。