「……王子様のお迎えは昼休みだったのね」
どんな時も冷静な親友がぼそりと言う。
騒ぎの張本人はキョロキョロと教室内に視線を彷徨わせていて、私は反射的に避けるように俯く。
ちょっと待って、なんで氷室くんがうちのクラスに来るの?
周囲の視線が背中に突き刺さるようで痛い。ドクンドクンと嫌な鼓動が胸の中で響きわたる。
とにかく逃げよう。
急いで食べかけの弁当を片付けると梨乃が小さく溜め息を吐いた。
「ナナ、多分逃げられないよ?」
「えっ……?」
「見つけた、原口さん」
聞き覚えのある低音にゾクリと背中に痺れがはしる。
後ろを振り向くのが恐い。嫌な予感しかしない。
「委員会の件で話があるんだけど一緒に来てくれる?」
「雪華、唐突すぎだって。恐がらせてどうするの。お昼ご飯中なのにごめんね、ええと、君は……」
もうひとり別の男子生徒の明るい声がした。周囲できゃあ、と小さな悲鳴が上がる。
「日村梨乃よ。ナナを連れて行くのはいいけど男ふたりに女ひとりってありえないでしょ」
眼前の親友は落ち着いて返答している。
「俺、楠本桜汰(くすもと おうた)、よろしくね。そうだな、じゃあ俺はここで梨乃ちゃんと話をして待つよ」
「お断りよ。あなたがナナたちと別行動をしたらいいだけでしょ。それと勝手に下の名前を呼ばないで」
厳しい目つきでピシャリと言い放つ親友は本当にカッコいい。
「ナナ、とりあえず話だけでも聞いてきなさい。そうじゃないとこの人たち、ここから動かなさそうだから」
どんな時も冷静な親友がぼそりと言う。
騒ぎの張本人はキョロキョロと教室内に視線を彷徨わせていて、私は反射的に避けるように俯く。
ちょっと待って、なんで氷室くんがうちのクラスに来るの?
周囲の視線が背中に突き刺さるようで痛い。ドクンドクンと嫌な鼓動が胸の中で響きわたる。
とにかく逃げよう。
急いで食べかけの弁当を片付けると梨乃が小さく溜め息を吐いた。
「ナナ、多分逃げられないよ?」
「えっ……?」
「見つけた、原口さん」
聞き覚えのある低音にゾクリと背中に痺れがはしる。
後ろを振り向くのが恐い。嫌な予感しかしない。
「委員会の件で話があるんだけど一緒に来てくれる?」
「雪華、唐突すぎだって。恐がらせてどうするの。お昼ご飯中なのにごめんね、ええと、君は……」
もうひとり別の男子生徒の明るい声がした。周囲できゃあ、と小さな悲鳴が上がる。
「日村梨乃よ。ナナを連れて行くのはいいけど男ふたりに女ひとりってありえないでしょ」
眼前の親友は落ち着いて返答している。
「俺、楠本桜汰(くすもと おうた)、よろしくね。そうだな、じゃあ俺はここで梨乃ちゃんと話をして待つよ」
「お断りよ。あなたがナナたちと別行動をしたらいいだけでしょ。それと勝手に下の名前を呼ばないで」
厳しい目つきでピシャリと言い放つ親友は本当にカッコいい。
「ナナ、とりあえず話だけでも聞いてきなさい。そうじゃないとこの人たち、ここから動かなさそうだから」