冬の王子様の想い人

雪華は自身の家族にも早く私を紹介したがっていたのだけれど、多忙な理事長夫妻と都合が合わず、ご対面は二学期以降になりそうだ。

私としてはそれまでに粗相のないように行儀作法をきちんと身に着けたいと切望している。

理事長夫妻も将来の嫁として会う日を楽しみにしていると聞かされて、しばらく動悸が収まらなかった。


小山内さんには改めて用務員室でお会いした。

自宅にも招かれたのだけど、恐れ多くて用務員室でお会いしたいとお願いした。

小山内さんはいつも通りの穏やかな表情で迎えてくれて、いつかの怪我についても気遣ってくれた。

身体がなまるのと学園という場所が好きだから、という理由で用務員の職に就いているらしく、創業者だということは内緒にしているらしい。
小山内という名字は奥様の旧姓だそうだ。