冬の王子様の想い人

「……お母さんにどうやって連絡したの？」
「親父から電話をかけてもらった」


……ちょっと待って、今年は確か個人の保護者の連絡先の配布はなかったよね……？


疑問に気づいたのか、雪華がニヤリと口角を上げる。


「俺の父親、ここの理事長だから」

しれっと言う。


理事長？　


「え、ええっ！」

素っ頓狂な声を上げてしまう。


「ちなみにじいちゃんは用務員の小山内さんだから」

さらに驚く事実を告げられて、もう頭の中はパニックだ。


おじい様が小山内さん？　
じゃあ私はこの学園の創業者に既にお会いしてるの？　
雪華ってとんでもないお金持ちなんじゃないの……？　


衝撃の事実に腰が抜けそうになり、血の気がひいていく。つり合いがとれる気がしない。

「なんで今まで教えてくれないの……！」
「もしかしたら知ってるのかなって思ってたから。でもそうだな、しいていうなら驚かせたかったからかな？　ちなみに桜汰は知ってるよ。桜汰の家は代々我が家の主治医を務めてくれているから」


このふたり、どれだけセレブのイケメンなの……！！


知らされた驚愕の事実に泣きたくなる。

既に理解の範疇を超えている。気がつかなかった私が鈍いのだろうか。


「七海は桜汰の姉貴にもじいちゃんにも気に入られてるから大丈夫。安心してお嫁さんに来て。卒業してすぐに入籍でもまったく構わないよ」

あっさり言い放たれて絶句する。

見惚れるほど綺麗な目には真摯な光が宿り、冗談を言っているようには見えない。
もう色々と次元が違いすぎて頭がついていかない。