「ああ。ここにいるんだ」
その瞬間、引き寄せられて温かな腕の中に囲われる。
え……?
「俺が捜していたナツは七海だよ」
甘く蕩けそうな声が耳元で響く。
胸元に抱き込まれた私に伝わる規則正しい鼓動と今ではすっかり馴染んだ香りと温もり。
そっと背を大きな手で撫でられる。
……なにを言っているの?
ありえない、だって私に季節の漢字はないし、そんな記憶はない。
「う、そ……だって私、小さい頃雪華に会った記憶なんて……!」
頭を上げると、端正な面立ちに艶やかな笑みを浮かべた彼と目が合った。
そっと髪を梳く仕草はいつもと同じ優しさに溢れていた。
「……間違えてないよ。七海はゆきちゃんの思い出が強かったんだ。俺はナツの思い出が強かったんだ。七海は『雪華』っていう俺の名前が覚えにくくてゆきちゃんって呼んで、俺は七海自身があの日名乗っていた『七海』のナツの部分だけを記憶していたんだ」
「……じゃあ私たちはずっとお互いを捜していたの?」
「そういうことになるな」
その返答に頭の中の混乱を整理するように、ひとつひとつ確認する。
「あの公園で会ったゆきくんが雪華だったんだよね? じゃあその時に雪華の名前の話をしたの?」
「ああ、名前も雪雲みたいな目も大好きって言って、俺に『冬の王子様』の愛称もくれた」
……記憶にない……。
あるのはゆきちゃんとしての思い出だけ。
自分の記憶力の悪さに頭を抱えたくなる。
その瞬間、引き寄せられて温かな腕の中に囲われる。
え……?
「俺が捜していたナツは七海だよ」
甘く蕩けそうな声が耳元で響く。
胸元に抱き込まれた私に伝わる規則正しい鼓動と今ではすっかり馴染んだ香りと温もり。
そっと背を大きな手で撫でられる。
……なにを言っているの?
ありえない、だって私に季節の漢字はないし、そんな記憶はない。
「う、そ……だって私、小さい頃雪華に会った記憶なんて……!」
頭を上げると、端正な面立ちに艶やかな笑みを浮かべた彼と目が合った。
そっと髪を梳く仕草はいつもと同じ優しさに溢れていた。
「……間違えてないよ。七海はゆきちゃんの思い出が強かったんだ。俺はナツの思い出が強かったんだ。七海は『雪華』っていう俺の名前が覚えにくくてゆきちゃんって呼んで、俺は七海自身があの日名乗っていた『七海』のナツの部分だけを記憶していたんだ」
「……じゃあ私たちはずっとお互いを捜していたの?」
「そういうことになるな」
その返答に頭の中の混乱を整理するように、ひとつひとつ確認する。
「あの公園で会ったゆきくんが雪華だったんだよね? じゃあその時に雪華の名前の話をしたの?」
「ああ、名前も雪雲みたいな目も大好きって言って、俺に『冬の王子様』の愛称もくれた」
……記憶にない……。
あるのはゆきちゃんとしての思い出だけ。
自分の記憶力の悪さに頭を抱えたくなる。

