「ねえ、ナナちゃんは雪華くんがずっと好きだったの?」
保健室のすぐ横の踊り場で葉山さんが立ち止まった。
「今年に入って知り合ってからだけど……」
「そうなんだ。それなのに雪華くんに気持ちを受け入れてもらえたの? どうして? なにか特別な理由でもあったの?」
「……特別な理由なんてないよ」
特別な理由があるのはあなたじゃないの?
あなたがナツさんなんじゃないの?
喉元まで言いたい言葉がこみ上げる。それは昨日からずっと不安に思っている疑問、気づきたくなかった現実。
雪華は関係ない、と言ってくれた。
思い出のナツさんへの気持ちは恋愛感情とは違うと教えてくれた。
それでも不安は完全には拭えない。
長い時間を費やして捜し続けてきた大事な女の子、幼い雪華の心の拠り所で救いでもあった特別な存在。
私を好きになってくれた理由も教えてもらったのに、どこかで納得できずに自信の持てない私がいる。
「私がナツなの、とでも言ったの?」
小首を傾げて無邪気に尋ねられた。
その瞬間、ヒュッと息を呑んだ。
葉山さんは最近転入してきたばかりだ。
いくら幼馴染で、この学校の噂話に通じていてもこの短期間でナツさんの件まで知っているとは考えにくい。
知っているとしたら本人以外に考えられない。
保健室のすぐ横の踊り場で葉山さんが立ち止まった。
「今年に入って知り合ってからだけど……」
「そうなんだ。それなのに雪華くんに気持ちを受け入れてもらえたの? どうして? なにか特別な理由でもあったの?」
「……特別な理由なんてないよ」
特別な理由があるのはあなたじゃないの?
あなたがナツさんなんじゃないの?
喉元まで言いたい言葉がこみ上げる。それは昨日からずっと不安に思っている疑問、気づきたくなかった現実。
雪華は関係ない、と言ってくれた。
思い出のナツさんへの気持ちは恋愛感情とは違うと教えてくれた。
それでも不安は完全には拭えない。
長い時間を費やして捜し続けてきた大事な女の子、幼い雪華の心の拠り所で救いでもあった特別な存在。
私を好きになってくれた理由も教えてもらったのに、どこかで納得できずに自信の持てない私がいる。
「私がナツなの、とでも言ったの?」
小首を傾げて無邪気に尋ねられた。
その瞬間、ヒュッと息を呑んだ。
葉山さんは最近転入してきたばかりだ。
いくら幼馴染で、この学校の噂話に通じていてもこの短期間でナツさんの件まで知っているとは考えにくい。
知っているとしたら本人以外に考えられない。