「もう絶対に離さない。俺の、俺だけのものだから。これから先ずっと俺だけを見てて」


ぺろ、と私の上唇を舐めて名残惜しそうに唇を離す。

その妖艶な仕草にどうしていいかわからなくなる。ゆだった頬の私を真っ直ぐ見つめてくる。


「ああもう、可愛すぎておかしくなりそう」


その台詞に思わず心の中で悲鳴を上げる。

再びギュウッと胸の中に抱き込まれ、その温もりにこれは現実なのだと実感した。


だけど、どうしても気になって大好きな人の胸元にそっと手を置いて整った面差しを見上げた。

「……ナツさんを好きだったんじゃないの? ずっと捜してたんでしょ? だから私、ナツさんを見つけてそれから告白しようと思ってて……」


唇をギュッと噛みしめる。上手く話せない。


どうしてこの人を諦められるなんて思ったんだろう。この温もりを知った今、それは不可能だと否応がなく思い知らされる。


「ナツをずっと捜してたし、再会して話もしたかった。ナツが好きだと思ってた時もあった……でも違ってた。俺はナナに会って初めて本気の恋を知ったんだ」


今、なんて?


唐突な台詞に瞬きを繰り返す。