「……俺がどれだけナナを好きなのか、わかってないだろ?」


唇を離して甘い声で問う。

言われた言葉が信じられずに瞬きを繰り返すと、目尻から涙が零れ落ちて、彼の唇に拭われる。その優しい仕草に言葉を失う。


「ナナを腕の中に閉じ込めて、俺以外の男なんて見なければいいって毎日思ってるよ」


物騒な言葉なのに、恐さは感じない。色香のこもった熱い眼差しを真っ直ぐ向けられて、その強さに視線を逸らせない。


「どれだけ抱きしめてキスしたいと思ってると思う?」


そう口にして、頬に口づけを落とす。その甘い触れ方にゴクリと息を呑んだ。


これは夢なの? 
雪華が私を好き? 


「間違いなく俺のほうがナナを想ってる。ナナのすべてを俺のものにしたい」


言い切る声には迷いがない。


「……私を、好き……?」


やっと出た声は掠れて震えていた。質問に蕩けそうな甘い目で答えをくれた。


「ナナが好きだ」


その言葉が耳に響いた瞬間、涙腺が崩壊した。流れ落ちる涙が止まらない。

胸に拡がる甘い痛みが嬉しくて愛しくてどうしようもない。


雪華が再び私の唇に自身の唇を重ねる。

二度目のキスは涙の味がした。


何度も角度を変えて繰り返される甘いキスに頭の中が真っ白になっていく。

足元がふわふわして覚束ない。頬から両手を離して、私の腰に自身の両腕を巻き付けて支えてくれた彼と私の距離がゼロになる。