際限ないこの想いを、誤魔化しも我慢もできずに曝け出してしまい、気持ちが高ぶって視界がぼやけていく。


こんな風に勢いで伝えるつもりじゃなかった。こんなみっともない告白はしたくなかった。


だけど、これが今の私には精一杯。

これ以上この想いを隠しとおせなかった。


泣いちゃダメ。
泣いたらきっと困らせてしまうから。
せめて泣かずにこの場から去りたい。


滲んだ涙を隠すように俯こうとすると大きな両手で掬い上げられた。
吐息さえ触れそうな近い距離で真剣に問われる。


「……ナナ、それ、本気で言ってる?」


その目は息を呑むくらいに真剣な光を帯びていて、震える唇で返事をする。


「……うん、本気。雪華が、好き」


ドキンドキンドキンと大きな音をたてる鼓動がうるさい。

頬に熱がこもって火のように熱いのに手先は氷のように冷たくて感覚が鈍る。


この気持ちに応えてくれないって知ってる。

ナツさんが大事だって理解してる。


それを今すぐ言葉にして伝えなきゃ。


わかっているのに、決定的な台詞を聞くのが恐くて声が出ない。胸を締めつける切なさに動けなくなる。


「遅いよ、ナナ」


ふわり、と私の唇に羽のような感触が触れた。


限界まで見開いた私の目に映る雪華の伏せられた長い睫毛に時間が止まった気がした。