クリスマスライブの頂点対決の決着がつき、感極まったハルトが沙弓を抱き締めたその後。
新曲を歌い終わったハルトは着ていた衣装を脱いで沙弓の頭からそれを被せた。

ーー堀原さんがすぐに来るから、このまま顔を出さないで。

そう耳元で囁かれた後に衣装越しに頭に口付けされ、周りからはキャーーッ!!と声が上がった。
その後すぐにハルトの気配が離れた気がするけれど顔なんて上げられず、ドキドキと高鳴る胸と頬に集まった熱を持て余し、ハルトの衣装をギュッと握り締めて必死に下を向いていると近くから声がした。

「嶋川さん、迎えに来ました」

「……堀原さん?」

衣装の隙間からチラッと声のした方を見てみると、そこには前回同様話しやすいようにその場にしゃがんで気の毒そうな眼差しを向けている堀原がいた。

「ハルトに気に入られて本当にお気の毒です。
あの越名勇人の息子で朝陽君の甥っ子ですから、何かしらやらかすのは想像に難くなかったですが……止められず申し訳ないです」

早口でそう話す堀原に、今までに勇人や朝陽関連で何かしらの苦労があったのだろう事が容易に想像がつき沙弓は苦笑いを浮かべた。

そして堀原に指示させるまま移動しようとすると服を誰かが掴んだのを感じて振り返る。
するとそこには真剣な表情の遥がこちらをじっと見ていた。