「痛っ……!?」

「あれだけ甘ったるくベタベタ接してくるくせに、私が他の人を選ぶ可能性を考えてたなんて信じられない……私のこと、少しは信じてくれてもいいんじゃない?
……あんなぬいぐるみまで手に入れるくらいなんだから……」

最後の方は恥ずかしくて消え入りそうな小さい声になってしまったが陽人にはちゃんと聞こえたらしく、叩かれた衝撃で丸くしていた目はやがて柔らかく細められた。

「……そっか、沙弓は俺のぬいぐるみをいつも抱き締めてるくらい俺のこと好きなんだよな……」

「ちょっ……決定的な言葉は言わないって……!」

「うん、もう言わない。
でも、もう我慢できないくらい言いたいからこれまで以上の本気出す。
だから、もう少しだけ待ってて……」

どこか余裕の無さそうな熱がこもった声を聞きながら沙弓はおずおずと頷いた。
そんな沙弓を確認してから陽人は満足そうに微笑むと、やっと離れてハンドルを握った。

それからは陽人が予約していたらしい個室のレストランに連れていかれて楽しい時間を過ごした。

次の日に本気を出したShineが重大発表をすることなど知ることもなくーー。