「……」
「……」
「昼休みに会ったの?」
「え?」
驚いてつい聞き返していた。無言が続いた中に急に振られた話題が、『昼休みに会ったの?』である。えーとえーとと、オロオロ彷徨った私の思考が、なるほど三嶋君の事ねと焦点を定めた時、さっきまで俯いていて隠れていた白井君の視線とピッタリ合う。彼はすっかり顔を上げて私を見ていた。
「どんな話をしたの?」
「ど、どんな…?」
「三嶋と」
「三嶋君と…は、えっと、白井君の事とか…」
まさか。白井君への恋の話ですなんてことは、言える訳がない。
「わ、私と白井君が仲良いね、みたいな…」
「……」
濁しつつ間違ってはいない表現をしてみれば、返ってきたのは無言である。つまり納得いかないって事なのだろうか…なんか怖い…
「そ、その、よく分からないんだけどね?最終的には私の応援するとかそういう事を言われて、」
「何の?」
「…し、白井君のファン活動の…とかでしょうか…」
「……どういう事?」
言い訳のように言葉を続ける私に鋭く視線を向ける白井君は、言葉の意味すら理解が出来ないとでもいうように、じっとりと怪訝そうに首を傾げる。
そうですよね、それはそうですよね!だって私もよく分からない!
「なっ、なんか、私がこう、白井君のファンですって付き纏ってるのが気になったらしくて、よく分かんないんだけどそういうのって今時じゃないらしいんだ。今時の高校生はもっとスマートな恋愛をしてますとか言われて…いやっ、恋愛とかそういう訳じゃないんだけど三嶋君はそう思ったみたいでね?それでちゃんと説明したと言うか、そしたら納得してくれたというか、それで昼休みは終わっちゃったというか…」



