「傍に居る為にはそれが一番なの」
「ふーん」と、つまらなそうに三嶋君は相槌を打って、視線だけ上に上げた。そして「でもさ」と、もう一度私へ戻ってくる。
「白井が相原さんの気持ちに気付いてない訳なくね?」
「い、いやそれはないよ。私付き合うつもりも、そういう事になるつもりも一切ないって言った事あるし」
「わ、このあまりにも酷い噂が本当だったという衝撃」
「…あの時居なかったの?まだ噂になってるんだね…」
落ち込む。人の噂はなんとやらじゃないの?白井君ってやっぱり人気者なのでは…
「でもさ、別に本心じゃないっしょ?」
「え?」
「機会があればあわよくば感あるっしょ?」
「……ないよ」
「なんで?」
「だって、迷惑だもん。迷惑掛けるのは嫌だし、傷付けたくない。私、恋愛系とことん下手だから」
「それはなんとなく分かる」
「じゃなきゃこんな拗らせてないわな」といってやれやれと三嶋君は笑う。
「とりあえず、迷惑とは思わんでしょ。自信持ちな」
「そんな訳ないって」
「訳あるって。現に俺は羨ましく思っていますし」
「はい?」
「白井にぞっこんですの相原さん、正直羨ましい。俺もあんな風に好かれたいわ」
「…好かれるでしょ?」
「最近はあなたみたいな人は居ないよ。もっと今時の女子高生はスマートな恋愛をしています」
「……」
ぐうの音も出ない。そう言われたら確かにその通り。
「だ、だとしても、迷惑じゃないとしても、白井君が今のままでいいと思ってるならそれでいいんだよ。私も不安になるくらいならこのままがいいし、私が白井君の彼女だなんて白井君が可哀想で心配過ぎる」
「でも白井に彼女が出来たら嫌でしょ?」
「嫌だけど…でもそれは私が悲しいってだけで、白井君は幸せでしょ?だったら仕方ない」



