し、白井君だ。なんで白井君がここに居るのかっていったらそりゃあこの騒ぎだ。白井君のクラスまで聞こえていても仕方がない。というか単純にトイレだった説もある、私だってそうだったし…じゃなくて待って。ちょっと離れて、肩組まれてるんだった、こんなのはおかしい。この距離感は無い。
「いやちょっと、久々に親友との交友を深めようとね。今なった所だけど」
「なってない!」
離れてくれと、思いっきり突き飛ばすと、あっさり三嶋君は離れた。しかし状況は何も変わっていない。だって白井君の顔がどことなく怖い。なんだか怒っている…感じ。
「…そうなんだ」
白井君は一言、そう答えた。珍しくぶっきらぼうで投げやりな雰囲気に怒ってるんだと確信して、「白井君」と、声を掛けたけれど、何も返事をしないままくるりと方向転換して戻って行こうとする…え?待って、
「白井君!」
慌ててもう一度声を掛けるも、白井君は立ち止まってはくれなかった。何も聞こえてなんていないかのように、そのまま自分のクラスへ戻っていってしまった。
「……」
「?相原さーん」
「……」
「あれ、心死んじゃった?」
「……」
「死んじゃったかー」
三嶋君が何やら言っていたのも、耳には入っていた。でももうそれ所では無かった。こんな事になるとは、ついにこの日が来たかと、頭の中はそれで一杯だった。
怒らせてしまった。あの白井君を。あの穏やかで優しい白井君を、怒らせてしまった。
「…ま、アイツ普段はあんなもんだし、気にしなくていーって。人の話なんて半分くらいしか聞いて無い人よ、あの人は。なんか思う事あって耳に入らなかったんだろ?」
「……」



