そうして――
――ポケットの中で、通信機が――
鳴らなかった。
おかしい。
いつもなら、タイミングを計ってお祖父様が……。
聞こえるのはただ、漂う塵の落着する囁きばかり。
私は、ポケットからケータイを取り出した。
たしか、1ボタンを押し続ければお祖父様に繋がると教わった。
私は生きた。生きている。またひとつ生きるために。
だから。
プルルルル……
プルルルル……
プッ。
『はい』
聞こえた、応えた声は。
『活きて生きてしまったのね、ミリアリア』
お祖父様のものではなく。
『愛しくかわいそうなミリアリア……』
私と、同じものだった。
『アナタの帰る場所はもうどこにもないのよ』
――ポケットの中で、通信機が――
鳴らなかった。
おかしい。
いつもなら、タイミングを計ってお祖父様が……。
聞こえるのはただ、漂う塵の落着する囁きばかり。
私は、ポケットからケータイを取り出した。
たしか、1ボタンを押し続ければお祖父様に繋がると教わった。
私は生きた。生きている。またひとつ生きるために。
だから。
プルルルル……
プルルルル……
プッ。
『はい』
聞こえた、応えた声は。
『活きて生きてしまったのね、ミリアリア』
お祖父様のものではなく。
『愛しくかわいそうなミリアリア……』
私と、同じものだった。
『アナタの帰る場所はもうどこにもないのよ』