ガタタッ、と自販機からペットボトルが落ちてくる。

小銭を投入したのは太陽だが、彼はそれを取り出すことも忘れて、目の前の光景に呆然としていた。

同じく彩人も目を見張っていたが、太陽とは違い頭を働かせることができた。

ペットボトルを取り出し、太陽の手を引っ張って椅子に座らせる。

「落ち着け。落ち着くんだ太陽」

彼の肩に両手を置いて、催眠かなにかのように言い聞かせた。

「……おちついてる……」

思考停止しているだけだ。

紅羽が男と一緒にいて、しかも男が紅羽に顔を寄せるなんて光景を目撃してしまったから。