光輝の見た目はそれほど大人びてはいない。

年相応ゆえ、なぜここまで逃げきれているのか、不思議でならない。

『紅羽、早く早く。時間なくなる』

怒鳴り散らすか舌打ちするかため息をつくか通話を切るか、迷った挙句深呼吸をした。

帰ってきたとき死にたくなるような目に合わせてやる、とは密かな決意だ。

『気配が怖い』

「ふん」

野生の勘を持つ男である。

「……新曲作ったな」

ありのままに話す。