秘密のきもち

春人の家の前にいく。
足音が聞こえてくる。
私は複雑なきもちのまま、どういう顔をして春人に会っていいのかわからなかった。

春人「遅くなってごめん。」
瑠璃「いいよ。」
春人「待った?」
瑠璃「いまきたとこ。」(ほんとは待ってたけどね…)
春人「ならよかった。」
瑠璃「…ノート、貸して?」
春人「あ、ちょっと待って。」

ごそごそ…かばんからノートを出して、あたしに渡してくれた。
春人の手、こんなに大きかったかな…いままで特にきにして見てなかったけど、随分男らしい手だな…。

渡されたノートを私は脇に挟む。

瑠璃「ありがと…じゃ、またね。」

うつむき加減で帰ろうとすると、春人がうしろから私の手をギュッとつかんだ。

春人「待って…」
瑠璃「なんで?」
春人「いいから待って。」
瑠璃「待たないよ。もうノートも借りたし今から勉強しないと。」
春人「は?いつもの瑠璃じゃない。」
瑠璃「なんでよ…」
春人「なんで泣いてるんだよ。」
瑠璃「泣いてないし。いたいよ、手が。離して、お願いだから。」
春人「離さない。」

私の手をつかむその手が、もっと力強くギュッとしてきた。
春人って、いつからこんなに力強くなったの?
昔は泣き虫だったのに。

瑠璃「…っ。」
春人「痛くしてるの、わかってる。でもごめん、瑠璃がなんで泣いてるか知りたくて。この手を離したら、瑠璃が理由を離してくれないまま、帰りそうで。そんな風に瑠璃がないてるなんて、珍しいから、ちゃんとこの場で瑠璃のくちから瑠璃の言葉で話が聞きたくて。」
瑠璃「春人に話すことじゃないよ」
春人「鼻声になってるけど?」
瑠璃「ただ風邪気味だから…こんな鼻声になってるだけ」
春人「うそだ」
瑠璃「うそじゃない」
春人「ずっと小さい頃から瑠璃を知ってるから瑠璃がいまうそをついてるってすぐわかる。ね、素直になって?なにがあったの?俺と瑠璃の仲だろ?なんでも話せる関係なのになんで話してくれない?」

春人も私に隠し事してるのに、それなのに、よく、なんでも話せる関係って言えるよね。
隠し事してる春人にだんだんイライラしてきて、まぁ相手が春人だし、感情に任せていいか。

瑠璃「うるさい!この野郎!」
泣きながら私は春人の手を振り払った。
春人と向かい合う感じに春人の方を向いた。

春人「なんだよ?」
瑠璃「春人も隠し事してるじゃん!なんでも言い合える関係をなんでも言い合えない関係にしてってるのは、あんたのほうじゃん!」
春人「なんのこと?」
瑠璃「とぼけないで!さっき、あの女と歩いてたじゃん。バイバイってして見送ってた!私、見てたから!」
春人「うん、一緒に歩いてたけど?」
瑠璃「認めたね!あの女、彼女でしょ?なんでできたらできたって言ってくれないの?」
春人「違うって。彼女じゃない…俺は…」
瑠璃「言い訳しないで?超楽しそうに話してたじゃん。春人のあんな笑顔、私は知らない…彼女さんとしあわせにね…うぅー。えーん。」

いろんな思いが込み上げて涙が溢れて止まらない。しゃがみこんで泣く私を、春人は何も言わず、そっと抱き締めた。
まるで泣く子供をあやすように優しく抱き締めながらゆっくり頭をポンポンとしてくる。

そんなの、ずるいよ…反則。
もっともっと、好きになるから。


いつのまにか涙も止まり、そのかわり、恥ずかしい気持ちでいっぱいになった。
心臓のドキドキする音が春人まで聞こえそう。どうしよう。




春人「瑠璃、泣かないで落ち着いてよく聞いて?俺は確かにさっき女の子と一緒に歩いてたけど、それは彼女でもなんでもない。ただの部活のマネージャー。俺がベンチに置きっぱなしにしてたmyグローブを届けてくれた、偶然帰り道が一緒だったから途中まで送った。
嬉しそうにしてたのは、マネージャーのノロケ話を聞いて、瑠璃にもあんな風にしあわせを味わせてあげたらなと思ってたから。瑠璃から見られてるとは思ってなかったからビックリだけど、瑠璃からから見られてても見られてなくても別によかった。瑠璃は瑠璃。ずっと秘密にしてたけど俺の世界で一番大好きな瑠璃だから。」
瑠璃「え?ほんと?うそじゃない?」
春人「命をかけてもいいよ、うそじゃない。これからもこの先もずっと瑠璃だけだから。」
瑠璃「うれしい。実は瑠璃も…」

春人のほうに顔をあげたそのとき、不意に凄く柔らかいものがおでこに当たった。
それは、春人の凄く柔らかい、唇だった。

春人「それ以上は言わなくてもわかってる。ほんとは唇にキスしたかったけど、それは結婚式までのおあずけ。」
瑠璃」「…え?」
春人「なんだよ、その戸惑ったような顔。地味に笑えるんだけど。きょとんとした顔もかわいい。んー。何て言うかな、あー!俺ってほんとダメだ、あれだけ1人で家で練習したのに本番になると恥ずかしくてなかなか言えないよ!あれ、えーと、俺と、高校卒業したら結婚してください。こんなプロポーズ、受け入れてくれませんか?っていうか、絶対受け入れて!」
瑠璃「いいよ!結婚の前に私と是非つきあってください!」
春人「はい!!」
~end~