(マジかぁ……)

 爽やかな容姿からは、想像がつかないくらいしっかりとした筋肉をしてらっしゃるわぁ……。筋肉フェチでもない私ですら、ときめいちゃうくらい。
 もじもじとしたしぐさをして、挙動不審なのは、置いておくとして。

(ん? もう一人いる)

 黒髪の青年の向こう側で、腕を組んで立っている男性がいた。存在感が薄いのか、影になっているところにいるからか気づかなかったけど。
 
 今時めずらしく和服姿で(白髪の男性と違って、きちんと着用してる。ちょっと立派なくらい。ひとつの寄れもない)栗色の髪は、肩口まで伸びている。
 陶器のように美しい肌で、整った顔をしてるけど、なんだかマネキンみたい。表情がないからかな。彼は、私をじっと見ていた。

(そ、そんなに見なくても……。無表情で凝視されても、不気味だよ)

 そう思って、ぎくっとした。

(あの人、瞳が金色だ)

 でも、何故か違和感がない。赤い瞳の白髪男性も、青い目の二人も、明らかに日本人顔なのに、髪も目も不自然感がまるでない。

(しっかし、このコスプレ集団はなんなんだろう)

 十畳くらいある部屋が、狭く感じるくらい圧を感じる。
 なんか、嫌な雰囲気。

「どうぞお座りになってください」

 執事風の彼に促されて、私はとりあえずその場に座った。
 すると、マネキンのような彼が静かに口を開いた。