「お待ちしておりました」

 さあ、さあ、こちらへ――と、部屋の奥へと誘導する。

「すぐにうちの連中が到着すると思うんだが、どうするよ?」
「お連れ様には、そうですね。西の区画で休んで頂いてください。あとで私の手の者が案内します」

 ドカ! っと豪快に座りながら、言葉足らずで快活に発せられた質問に、風間はすぐさま答えた。

「ドラゴンは?」
「西の区画の庭にドラゴンの収容小屋がございまから、そちらをご利用下さい。毛利様ご一行にもそうして頂いております」

 続く質問にも、スラスラと答えた風間はにこりと笑んで、先程自分が座っていた位置よりも奥に座った。

「そうか、わかった。じゃあ部下どもが来るまで、俺の竜はそこにとめさせてもらうわ」

 言って、男は降り立った庭を指差した。
 そしてなにかに気づいたように続けた。

「お前の主はどうしたよ? 話じゃくるってことだったが」
「今、毛利様のお付きの者を南の区画に案内しております」
「自らでか!?」
「そういう方なので」

 はあ~奇特なやつもいるもんだね――と、男は白髪の髪を掻き揚げた。

「――んで、お前が毛利か?」

 不躾な言い方に、毛利は僅かに片眉を上げる。

「そうだが――」
「やあっぱりな、そうだと思ったぜ。官吏の嫌みったらしい感じが漂ってるもんなぁ!」

――それがどうした。と、毛利の言葉が続く前に男が快活に毒を言ってのけた。しかし、男に悪気はなかった。いや、正確には僅かしかない。
 先程の先制パンチのお礼、という気持ちがいささか含まれている。