冬休みに入ってから、俺達は普段『Sapphire』の溜まり場として使っている、先代の姉がやっている店に居るようになった。

「ユウくん〜寒いよぉ〜」

「俺のジャケット掛けとけ」

「流石母さんやなぁ〜」

「…トウマ、俺は母さんじゃないぞ。それからだらけてないで準備手伝えよ」


今日は先代の誕生日で、幹部補佐の俺達で祝おうと準備していた。店内の飾り付けや数々の料理、クラッカーまでご丁寧に準備されていた。

「幸弥くん、この料理テーブルまで運んでくれるかしら」

「はい、分かりました香苗(かなえ)さん」

現在は夕方の17:30。先代は18:00に来ることになっている。もちろんサプライズだ。

…しかし、時間になっても店のドアベルが音を鳴らすことはなかった。