梓side



ポタ…ポタ…と額から赤い液体が流れている。それは私の片方の視界を奪った。


「…アズサちゃん!…アズサちゃん!イヤだ!」


サクラを引っ張ってその場を離れていく護衛のひとり。残りのふたりはコンクリート上に倒れていて意識がない。


「…おいおい、まだ意識あんのかよ。バケモンかオマエ」

「…ハァ…ハァ…Monster?It's a compliment.(バケモノ?褒め言葉だな)」


「おいおい、何言ってんのか分かんねぇんだけ、ど!」

腹にまた一発入れられる蹴り。もう感覚が麻痺して痛みを感じない。頭がぼーっとしている。

あーあ、なんで最後の最後でこうなるかなぁ。サクラと楽しいショッピングになるとこだったのにな。