運命が紡いだ物語

「俺、養子なんだよね。」

何で、今このタイミングで言ったのかは自分でもよくわからないけど、どうしても聞いてほしくなった。

今なら言えると思った・・。

「えっ・・・。」

そりゃぁびっくりするよな・・。

「びっくりしたよね。ごめん急に。

俺の母さんは俺の弟を産む時に亡くなって、それからは父さんと二人で生活してたんだけど中2の時に父さんが事故で死んだんだ。
それから俺は叔父さんの家で養子として暮らしてる。
この高校に来たのは、叔父さんの家に近いっていうのもあるけど、俺は父さんと暮らしてたあの環境から離れたかった。
俺は逃げたんだ。父さんからも母さんからも。」

俺のせいで父さんは死んだんだ。

俺を育てるために必死で働いて・・

父さんはどんどん疲弊していった・・

それで事故を起こしたんだ・・・。

俺が父さんを・・・

「それは違う!」

大声を出した牧原さんに俺は驚いた。

「えっ・・?」

「咲野君は逃げてなんかないよ。
お父さんとお母さんと向き合ってるよ。ちゃんと。
その理由にこうやって私に話してくれた。
それだけで十分向き合ったって言えるよ。」

妙に真剣に言う牧原さんに疑問を抱きつつも俺は涙を抑えるのに必死だった。

牧原さんは俺の心を読んでいるかのように、俺の心にずっと引っかかっていたとげのようなものを取り除いてくれた。

俺が父さんを死なせてしまった事実は変わらないけど、牧原さんの言葉で俺の心はだいぶ救われた。