それでも、陽向への気持ちは全く変わらない。

陽向と一緒にいると安心するし、
陽向の言葉や話が私の心を落ち着かせてくれる。

だから聞いていたい。

陽向の話を・・

ずっと。

「そんなたいそうな話じゃないよ・・
俺の母さんの担当医だった先生の話。
なんか、母さんの担当医が“あらい”先生って人でその人すっごくいい先生だったみたい。
“あらい”先生との診察の時の会話とかも書いてあったんだけど、すごい面白い先生だったんだって会話を読んでるだけでも分かった。」

“あらい”先生・・

そう聞いた瞬間、時が止まったみたいな気がした。

その名前が頭から離れなくて・・

私はなぜかすごく怖くなった。

「そっか・・。でも確か陽向のお母さんって。」

「うん。俺の弟を産む時に亡くなった。
なんか亡くなる当日に異変があって病院に行ったらしいんだけど異変はないって言われたんだって。でも、その日に家で容体が悪くなって救急車で運ばれてそのまま。俺は当時2歳だったから全く覚えてないど・・。
でも、父さんは“あらい”先生は悪くない。俺は信じてるって言ってた。それは俺も聞いてたからほんと。」

父さんが医療ミスをした時と状況が全く同じだ・・

望月さんから聞いた話と合ってる。

でも、まさか、そんなことないよね・・

だって陽向の言う“あらい”先生は私の父さんとはイメージが全く違う。

父さんは陽向の言うような先生じゃ絶対ない

よね・・