コンコン

あれ?

「どうぞ」

翔大はいつからかノックをしなくなったから、
私は不思議に思った。

ガチャ

扉が開き、入ってきたのは
お母さんだった。

「ちょっといい?」

「うん。
どうしたの?」

「花。
よく決心したね・・
お墓参りに行くこと。」

「自分でも、びっくりしてるよ・・
まさか自分の口から、
お母さんたちにお墓参りに行きたいなんて言う日が来るなんて思ってもなかった。」

「毎年、花の実のご両親の命日、
お墓参りに花を誘おうか迷ってたの。
花が行くとき、私たちも一緒に行こうって決めてたから・・
でも、今年はもしかしたら行ってくれるかもって少し思ってたの・・
咲野君と付き合って花が変わったのが私たちにもわかってたから・・
花が私たちに付き合ったことを報告してくれた時、
翔大が咲野君なら花を幸せにしてくれるって言ってたけどそのとおりね。
お母さん、とてもうれしかったのよ・・
花がお墓参りに行くって言ってくれて。
咲野君にもいつか直接お礼が言いたいわ。」

「お母さん・・」

お母さんの言葉に涙が止まらなかった。