どうしたものか、今目の前にいる人が
自分であることが信じられない。
自分の存在を裏返しているそれを不思議と
殺したくなる。
手を伸ばしても伸ばしてもカツッカツッとなるだけで実態に触れることは出来ない。
名前を呼ぶ声が聞こえるが、
確かあれは自分の名前だったとぼんやりと感じるだけで、はっきりと返事を出来ない。