「いいじゃん。親友でしょ? で、これからはパパ友じゃん」

「勘弁してくれ」


本気で嫌そうな顔をする神藤さんを、私は笑った。

無邪気に笑える『今』を、愛しく思う。



「そういえば、言い忘れてたけど、昨日、美嘉さんに赤ちゃんできたこと報告したんだよね。そしたら、私の出産の時期に、一時帰国するって言ってくれて」

「何であいつが帰ってくるんだよ。関係ないだろ。暇なのかよ」

「友達だし、兄嫁みたいなもんじゃん」


私の言葉に、神藤さんは墓石を一瞥し、ため息を吐いた。

そのままさっさと帰ろうとする神藤さんの背中に、



「ねぇ、神藤さん」


と、声を掛ける。



「私と本物の家族になってくれて、ありがとう。大好きだよ。だから、ずっとずっと、死ぬまで一緒にいようね」


大声で叫んだ私に、驚き、でも次には神藤さんは、「あははっ」と声を立てて笑った。



どうして生まれてきたのかは、まだよくわからない。

だけど、今、神藤さんが目の前で笑っていてくれるなら、こんな人生も捨てたもんじゃなかったのだと思えてくる。


死ぬまでずっと、神藤さんと笑っていられたら。










【END】