外まで一緒に着いて行き、無事に高峰さんとタクシーに乗り込んだ梨乃を見送って、私はほっと安堵した。
それから部屋に戻り、散らかったテーブルの上を片付ける。
ひと仕事終えたところで、私はミネラルウォーターのペットボトル片手に、神藤さんの部屋のドアをノックした。
「神藤さん、大丈夫? 入るよ?」
もしかしたらもう寝ているかもと思い、小声で言って勝手にドアを開けたら、薄暗い中、神藤さんは煙草を咥えて、ぼうっとベッドに腰をつけていた。
「何だ?」
「いや、飲み過ぎてたし、大丈夫かなって」
言いながら、ペットボトルをベッド脇のチェストの上に置く。
神藤さんは肩をすくめ、煙草の火を消して、自分の横をぽんぽんと叩いた。
どうしたのだろうかと思いながらも、促されるまま、私は神藤さんの隣に腰を下ろす。
「体、もうほんとに平気なのか?」
「うん。すっごい元気だよ」
「傷、残らないといいな」
神藤さんは、そっと私の前髪をかき上げた。
私のこめかみの上は、当初は大きなガーゼが貼られていたが、抜糸した今は、赤い線があるだけだ。
「こんなのそのうち薄くなるよ。それに、もし残ったとしても、女はメイクで隠せるし。そうじゃなくても前髪で隠れるしさ。見え辛いところだからラッキーじゃん」
「………」
「てかさ、生きてたら、怪我のひとつやふたつ、するのが普通でしょ? 今回は、それがたまたま顔だっただけ。だから神藤さんが責任感じることじゃない」


