「杏奈の退院パーティーだよ。ほら、神藤さんも早く入ってよ」


梨乃まで顔を出し、笑いながら言った。

だからここは、神藤さんの家なんだけど。


口元を引き攣らせながら、神藤さんはリビングに入る。



「パーティーなんて聞いてないぞ。誰がこんなに大量に食うんだよ。つーか、お前、退院したばっかなんだから、まだ寝てろよ」

「でもこれ、ほとんど梨乃が作ってくれたし。私なんてサラダくらいしか」

「じゃなくて、安静にしてろって言ってんのがわかんねぇのか」


言い争いになりかけた時だった。



「まぁ、まぁ、そんな怒ることないだろ、神藤。せっかく、無事に杏奈ちゃんが退院できたってのに」

「そうだよ。大体、神藤さんが散らかした部屋を、私たちが片付けてあげたんだから、パーティーくらい許してくれてもいいでしょ」


高峰さんと梨乃の言葉に、神藤さんはしばしの後、諦めたようにため息を吐き、最後には「わかったよ」と言った。

にやりと笑った高峰さんは、すぐに飲みものを配る。



「杏奈ちゃんはジュースね」

「あ、うん。ありがと」

「じゃあ、神藤の気が変わらないうちに、乾杯ー」


みんなでグラスをぶつけ合う。

神藤さんは、もうどうにでもしてくれという顔で、一気にビールを喉の奥に流していた。