「オレはあの時ガキだった。お前も今は着替えてる。髪も力を使わなきゃ銀じゃねぇ。知らねぇ振りしてりゃ見つかりっこねーよ」

 街灯も無い、家々から漏れる灯りだけが頼りの薄暗い道を歩きながらラグが言う。

「うん……」

 頷きながらも周りの目が気になってつい視線をうろうろとさせてしまう。
 何も悪いことはしていないのに、なんだか犯罪者になってしまったような気分だ。
 私は澄んだ夜気を吸い込んで、ゆっくりと吐き出した。


 そして次にラグが向かった店。その看板には剣が描かれていた。

(ゲームだと武器屋、だよね……)

 ラグに続き店内に入った私は次の瞬間思わず顔が引きつってしまった。
 予想通り壁には様々な武器が飾られていた。だがそれだけではなかった。
 店内の長椅子に強面の男たちが数人どっかりと腰をおろしていたのだ。
 皆、筋肉隆々。スキンヘッドの男もいる。
 睨むような視線を一気に受けた私は、危うく腰を抜かしてしまうところだった。

 だがラグは表情ひとつ変えずに奥のカウンターへ向かう。
 私は身が小さくなる思いでその後に続いた。

「ルバートまで護衛を頼みたいんだが」

 カウンター奥で剣を磨いている主人らしき男にラグは声を掛ける。

(あ、そっか。傭兵を雇うって言ってたっけ)