また兵士に捕まってしまったら何をされるかわからない。今度こそあの剣で殺されてしまうかもしれない。
 更に“モンスター”!?
 今彼の髪の毛で眠っているブゥもモンスターらしいが、やはり“モンスター”と言うと恐ろしい化け物の姿を連想する。

 ――まだ、終わっていない。

 途端足がガクガクと震え出す。


「ったく、誰かさんがもう少しがんばってくれりゃ今頃は山を越えられてたのによ……」

 ぶつぶつと文句を言いながらすでに足を進めていたラグが、ついて来ない私に気付き振り返った。

「おい! 急げって言ってんだろ!」

 怒鳴られても私は動けなかった。
 それどころかその場にしゃがみこんでしまった。
 足に力が入らない。

「ふっ……うっえぇっ」

 知らず嗚咽が漏れていた。涙がボロボロとこぼれ落ちる。
 今までの恐怖が、せきを切ったように溢れ出した。

「おっおい、何泣いてんだ!?」

 慌てた声でラグがこちらに戻ってくるのがわかる。
 でも顔を上げられない。