ラウト君の表情は真剣そのもので、ライゼちゃんやヴィルトさん、ブライト君もそんな彼を心配そうに見つめている。
「でも皆そんなのおかしいってわかって、今はそんな国ほとんど無くなってきてるんだよね!」
確認するように訊くラウト君に、私は強く頷く。
するとラウト君は満面の笑顔で続けた。
「だったら、このレヴールもきっとお姉さんの世界と同じように、皆がわかってくれるときがくるよね!」
私は目を見開きまだ小さな彼の大きな黒い瞳を見つめる。そして、答えを待つ彼に、私は笑顔で答えた。
「うん、うん! きっと、絶対そうなるよ!」
「だから僕ね、それまでいっぱいこの世界のこと勉強して、お父さんみたいにすっごく強くなって、大きくなったら絶対、この国を変えてみせるよ!!」
そう、自信満々に宣言したラウト君を見つめ、ライゼちゃんが涙ぐんでいた。
ヴィルトさんもそんな息子の肩に手を置き、ラウト君は驚いたようにお父さんを見上げ、そして照れたように笑った。
と、ヴィルトさんがおもむろにこちらを――いや、ラグの方を見上げた。
「俺は魔導術が嫌いだった。人を殺める感触が手に残らないと思うからだ」
その言葉にそれまでずっと前を向いていたラグがゆっくりとヴィルトさんを見つめた。
その横顔からは何の感情も読み取れない。
一瞬ひやりとしたが、すぐにヴィルトさんが後を続けた。
「だが、魔導術でも人を癒すことが出来るのだな。この子や、……この子の母親のように……」
ライゼちゃんを眩しそうに目を細め見つめるヴィルトさん。その目は、ライゼちゃんを通して彼女のお母さん……フェルネさんを見ているように思えた。
ラグは何も言わずにただそんな彼を見つめていた。



