ただ一人、ブライト君がとても情けない顔で頭を垂れたのが気になったけれど、どう見てもあと一週間は満足に動けなそうな体だ。どうしようもないことは医者である彼が一番わかっているはず。
だからこそ情けなくて仕方ないのだろうけれど、命を張って村のため、ライゼちゃんのために頑張ったのだ。もう少し自分のしたことを誇りに思ってもいいのにと思う。
(まぁ、そこが彼らしいというか……。頑張れ、ブライト君!)
こっそり応援していると、ラグが小さく息をつくのが聞こえた。
「で、あのデカイ白蛇はオレたちだけでもちゃんと言うことを聞いてくれるんだろうな」
この国にとって神聖な存在であるというビアンカを「デカイ白蛇」呼ばわり……。
思わずライゼちゃん達の表情を伺ってしまう。でもライゼちゃんは嫌な顔一つせず笑顔で答えてくれた。
「はい、大丈夫です。ビアンカはとても頭が良いので。……行き先はランフォルセでよろしいでしょうか?」
「いや、ストレッタだ」
ライゼちゃんの表情が一瞬強張った。でもすぐに笑顔に戻った彼女は「わかりました。頼んでみましょう」と答えた。
そして彼女は急に改まるようにしてラグをまっすぐに見上げた。
「ラグさんにはとても感謝しています。……私は、魔導術士のことを少し誤解していたのかもしれません。これまでの無礼をお許しください」
そうして深く頭を下げるライゼちゃん。
ラグはというと、
「別に、アンタに頭を下げられるようなことをした覚えはないな」
そう、私がお礼を言ったときと同じようなことを言って彼女からぷいと目を逸らした。
それでもライゼちゃんはそんな彼を再び見上げ綺麗に微笑んだ。
胸がほんわかあたたかくなる。
――神導術士と魔導術士である二人。
最初のときのような息が詰まる雰囲気はもう感じられなかった。



