「ライゼ様、遅くなり申しわけありません。子供達を連れてきました」

 そんなブライト君の声が聞こえたのは、陽が大分傾いた頃。
 昼食の片付けを手伝った後は結局することがなくなってしまい、木陰でうつらうつらしていた私はその声に慌てて立ち上がった。
 私と同じく近くの木を背に休んでいたラグとセリーンはすでに立ち上がりテントの方を見据えている。ラウト君とヴィルトさんは家に戻ったのか姿が見えなかった。

「ご苦労様でした」
「フロイデとベレーベントの者達です」

 ライゼちゃんがテントから出てくるのが見え、私は足早にそちらに向かう。そして。

「!?」

 私はブライト君の後ろに集まった子供達を見て、息を呑んだ。
 子供達は全部で10人程。皆ラウト君と同じ褐色の肌に真っ黒の髪と瞳。
 でもラウト君と明らかに違っていたのは、皆かわいそうなくらいに痩せ細っていたこと。
 テレビなどで見る、海外の恵まれない子供達――そのままの姿だった。

 まだ指をくわえているような小さな子からラウト君と同じ歳ほどの子までいたけれど、もしかしたら皆見た目よりも上なのかもしれない。
 緊張と不安が入り混じったような面持ちでライゼちゃんの方を見つめる子供たち。
 ブライト君が挨拶をするようにと小声で言うが、皆なかなか口を開かない。
 でもそんな子供達に神導術士であるライゼちゃんはにっこりと微笑んだ。

「突然呼び出したりしてごめんなさい。驚いたでしょう。今日は皆にある方を紹介したくて集まってもらいました」

 すると子供達は皆安堵したような表情を見せた。